市場に春を告げる「イカナゴ」。
最初の頃は不漁だったみたいで、バカ高かったみたいですが
ようやく落ち着いてきたんですかね。
灘はともかく、タルマー(垂水クミン)やスマップ(須磨クミン)の皆さんは
ドキドキだったでしょう。
なんせ垂水区なんて「いかなごまつり」ですぜ。
「いかなごGo!Go!」なんて歌までつくってるんだからどうしょうもないすごい。
もうイカナゴと一蓮托生なんですから大変です。
もしイカナゴが穫れなかったらどうするんだろう?
ちりめんじゃこなどで偽装するのだろうか。
そのあたりの危機管理はどうなっているのだろうか。
そんな心配もしてしまいます。
長田区の「ぼっかけ」しかり、各区のみなさん名物づくりに必死のパッチなようですな。
ご存知の様に、灘区のコンセプトは「めくるめく」です。
つまり「イカナゴ」とか「ぼっかけ」など一点突破全面展開的な発想とは真逆の思想。
灘区で選ばれた「灘百選」も「百=たくさん、めくるめく」という願いが込められています。
ナダタマの昼メシデータベース「灘の昼ごはん」だって、別にうまい店や名物店を
ピックアップして紹介しているわけじゃない。ともかく「めくるめく」ことが大事なんです。
灘区の名物はなんですか?なんて質問されることがよくあるのですが、私はキッパリと
答えます。「そんなものはありません」と。
だって、イカナゴはいいですよ。ちやほやしてくれるんですから。
でも、カレイや鯛の立場も考えてもらいたい。
イカナゴだけをもてはやすのはイカナゴなものか、いやイカガなものか。
ミミズだってオケラだってアメンボだって生きているんです。
街に必要なのは名物ではなく「めくるめく世界観」ではないでしょうか。
あんまり他区のことをとやかく言うと「われなんどい、ダボ!」とか言われそうなんで
この辺でやめときましょうね。
てことで今日のネタは、イカナゴネタはパスして、めくるめく春食材の一員である
春キャベツにします(笑)
灘中央市場西口を出て灘センター商店街を北に上がったところにある韓国食材の店
「三味」さんでは、この時期「春キャベツのキムチ」が店頭に並びます。
我が家ではもうこれを食べないと春が来ないというくらい、スプリング・ハズ・キムなキムチ。
漬物というよりサラダと言ったほうがしっくりくるくらいのシャッキシャキ感。
いいですか。「シャキシャキ」ではなく「シャッキシャキ」。
白菜キムチみたいにクタッとしているのではなくシャキッと。
実に春らしい。
ともかく、この店オリジナルの「旨甘薬念(ヤンニョム)」が甘くて柔らかい
春キャベツにからんでえらいことになってるわけです。
柔らかくて甘い春キャベツちゃんが唐辛子を塗ったくられて身悶えしているわけです。
「もう堪忍して!」
なんていいながら、押さえられない歓びがあふれ出ている春キャベツ。
なんともいえない禁断感と言いましょうか、なんかそんな感じです。
そして春キャベツの淡い黄緑と赤い薬念のコントラスト。
鈴木清順の映画に出てきてもおかしくないキムチ。
花見シーズン前の、静かな都賀川あたりで甘くて辛いこのキムチでビールを飲りながら
のんびり過ごす…幸せです。
もう俺はこの小さな幸せがあれば十分だ。そんな気になってきます。
で、おなかがすいたら焼きそばにしちゃっても旨いわけですこれが。
春キャベツは炒めないで、最後にさっと和えるイメージです。
市場の焼きそば麺に合うんだこれが。
垂水の皆さんもたまにはいかがですか(笑)