3/21の春分の日。
摩耶山の春山開きのお祭り「摩耶詣祭」にて、毎年一度だけ復活する灘メニューがあります。
「摩耶鍋」
この言葉に、ああ懐かしやと思う方もいれば
何やそれ?と思われる方もいるでしょう。
観光地として摩耶山がブイブイ言わせていた昭和。
摩耶山には2つの宿泊施設がありました。
一つが「摩耶観光ホテル」
今ではすっかりキングオブ廃墟として有名になってしまいました。
もう1つが「摩耶ロッジ」
現在のオテルド摩耶であります。
この2カ所の名物メニューだったのが摩耶鍋です。
摩耶観光ホテルはとうの昔に閉館になり、摩耶ロッジの食堂もなくなり、
摩耶鍋も人々の記憶から忘れ去られようとしていました。
しかしこの名物灘メニューを摩耶詣祭に合わせて復活させよう、という
プロジェクトにより3年前から復活したのが、
ネオ摩耶鍋「摩耶鍋リターン」(注1)です。
この摩耶山のメニューがどう市場と関係があるのか?
実は復活にかかせなかったのが、水道筋の市場商店街の力だったのです。
まず調理担当は、新家(東畑原市場)。
いわばコンダクターです。
灘駅弁など灘レシピ開発などの無理難題に、積極的に取り組んでくれる
お店です。
そしてそれぞれの演者。
この摩耶鍋、酒粕汁なのですが、実にミルキーです。
決めては酒粕に豚肉とサツマイモが絡み付き乳化し、
独特のコクとクリーミーさが出るのです。
酒粕は岸本商店(東畑原市場)
豚肉は久保田精肉店(畑原市場)
野菜は丸杉商店(水道筋商店街)
そしてボリューム感を左右するのが豆腐。
しっかりお腹にたまりながらヘルシーなのは大豆のチカラ。
豆腐は右近豆腐店(畑原東商店街)
そして味の決めては出汁と味噌。
これが破綻すれば、いくら摩耶鍋だ、復活だなんて言ってたって
おじゃんです。
カツオ節は丸徳商店(東畑原市場)、だし昆布は芦谷商店(灘中央市場)
白みそは松村商店(畑原市場)
オール水道筋キャスト。
1つの鍋に、それぞれの専門店(スペシャリスト)が集うことなんと8店舗。あたりまえですが、スーパーで買ったものなんていっさいありません。新聞報道などでは「懐かしの摩耶山名物料理復活」くらいまでの紹介しかされませんが、実は摩耶山のお膝元、地元水道筋の市場がつくりだした摩耶鍋なのです。
市場、山へ行く。
今年も摩耶詣祭では200人以上のハイカーが、市場謹製のあたたかい摩耶鍋に舌鼓を打ちました。(注2)
山と街が共に生きる灘区の面目躍如です。この鍋を食べていただいて、少しでも市場のチカラを感じてもらえたならば幸いです。食べられなかった方、また来年の摩耶詣祭で、是非ご賞味いただければと。
(注1)詳しいレポートはこちらで
摩耶鍋リターン【プロジェクトN】
摩耶鍋リターン(後編)【プロジェクトN】
(注2)灘の昼ごはん@ナダタマ
摩耶鍋