前回紹介した「バレンタイン天」。
こんな感想をいただきました。
「ハート天もいいけどその後ろのモノが気になるんだよね」
「なんだか、てりっとした○○状のモノは一体何?!」
さすが、お目が高いナダタマの読者様。
ハート天の後ろでぼんやりと寄り添う2人、いや2匹。
実はこの2匹には、以前からどのシチュエーションでお出まし願おうか
機をうかがっていたのです。
で、前回バレンタインにかこつけてご出演いただいた次第です。
え〜、畑原市場の凪蒲鉾店のたこさんウインナ達です。
「え〜たこさんウインナって売ってるものなの!?」
売ってるのです。
たこさんウインナーを。
市場では。
つまりですね。
ちょっとした手間なんですね。たこさんウインナは。
いや、ビミョーな手間と言った方がいいかもしれません。
この手間がかかり感が弁当における愛情表現の要なわけです。
じゃあ冷凍でいいじゃん、中国で作った方が安いしねってことになっても
「お弁当に大人気!冷凍たこさんウインナ」
というのはなかなか商品化されない。
要はメーカー側としては、
「ま、これくらいだったら家で作れよな」
というニッチな素材なわけです。
弁当アイテムとしてはあれだけメジャーなのに、流通業界及び弁当業界及び
冷凍業界及びウインナ業界及びたこさん業界から完全に見放されたのです。
市場は違います。
懐が深い。
たこさんウインナにも愛情を注ぎ商品化するのですよ。
手間を惜しまず足の切り込みを入れ「商品」にするのです。
もちろん、市場の店は食のプロですから、匠の技をからめてきます。
トーシロのたこさんウインナとはひと味違います。
凪さんちのたこさんウインナの頭部、いや生物学的には頭ではなく胴だそうですが
そんなことはこの際置いておいて、頭部らしきものにご注目いただきたい。
鉢巻きがあるでしょう。
タコと言えばやはり鉢巻きは切っても切れないものです。
「たこのはっちゃん」は、きりりと鉢巻きを巻いていて欲しいわけです。
でもそれが弁当に入るときはなぜか鉢巻き着用率が落ちます。
これは由々しきモンダイです。
弁当のおかずだからって鉢巻きを外すなんてことが許されてはならない。
これでは「安保反対!」を叫び、鉢巻き姿で国会に突入した「全タコ連」の
闘士たちに申し訳が立たない。
でも、市場のたこウインナには鉢巻きがあります。
しかも竹輪。
「春の海 蛸の頭に 竹輪かな」
瀬戸内ののどかな春を詠んだ、こんな一句が浮かびそうなタコさんウインナ。
これこそ匠の技です。
神田川俊郎風にいえば
「お弁当 ちょっと工夫で この美味さ」
でしょうか。
そしてこのたこさん、炒めるのではなくて「揚げている」のです。
通常たこさんウインナは炒めますよね。でもここは天ぷら屋さんですから、
揚げちゃうわけです。
そこの奥さん、よーく聞いてくださいな。
ここ大事です。
なんと一介のたこさんウインナが縁起物に昇華しているのですよ!
つまり「たこ揚げ」。
そう、正月の凧揚げと同じです。
この一品をお弁当に忍ばせることによって、家族の幸運を願うラッキーフーズ
になるのです。
ちょっとしたことなんだけど、家ではできない一手間。
もちろんメーカーでは対応できない(思いつかない)一手間。
ここに市場の生きる道があります。
何気ない「揚げたこさんウインナ」ですが、実はここに大きな示唆があるのです。
お弁当にそっと「市場のたこさんウインナ」を添えてくださいな。
きっとそのお弁当は楽しくなりますって。
そして午後からの仕事や勉強がはかどりますって。


