「今日は江戸前のアナゴあるよ、江戸前だよ」
「やっぱいいよね〜江戸前は」
東京で暮らしていた時、こんな会話をよく耳にしました。
「アナゴはやっぱり淡路でしょ」
なんていったら大変なことになります。
「淡路産、あ〜ありゃダメだね」
「え、なんでだめなんですか、うまいですよ」
「ダメなものはダメなんだよ!」
江戸っ子にとっちゃぁ江戸前の魚ってーのは特別な魚なようでして。
江戸前とは古くは品川沖、今では東京湾で採れた魚介類を
指します。
あんなとこ魚採れるの?なんて思われるかもしれませんが、
アナゴにコハダ、キスにアジ、アオヤギ…
江戸前寿司や天ぷらになる高級ネタたちが今でも採れるわけです。
ひるがえって、我が灘。
だいたい灘は「魚田(なだ)」が語源だ、という説もあるくらい、
たくさん魚が採れた場所で、まだ灘浜が白砂青松の美しい浜だった
ころ、イワシを始めたくさんの魚介類が水揚げされました。
「とれとれのイワシ〜とれとれの手手噛むイワシ〜」
灘前の魚介類はおいしく、消費地に近いため鮮度も群を抜いていました。
煮干しなどは高級献上ものとして重宝されたほど。
そんな、灘前の魚が食べられる店が水道筋に何軒があります。
もちろんたまたま魚が入ったらですけど。
例えば畑原市場のスタンドチンタ。
「今日は灘前のサンマがありますよ」
「お、珍しいね、それいただき」
なんでも灘沖に大量のサンマの群れが入って来たそうで、
釣り好き店員のA君が自ら釣りに行ったという灘前サンマ。
自家製つくねには定評のあるチンタのマスターが
それを骨ごとミンチにして焼き上げ、新サンマのつみれ焼き。
「こ、これは!」
滋味あふれる味。
灘クミンのDNAにダイレクトに反応する味と申しましょうか。
なにか、目を閉じれば真っ白な砂浜が広がる感じ。
松の間から摩耶山が見える感じ。
父が、いや祖父が過ごした灘の浜の情景が時を超えて甦るようです。
「とれとれのサンマ〜とれとれの手手噛むサンマいらんか〜」
そんなのどかな売り声も聞こえてきそうです。
え〜灘前の魚なんて…と言われる皆さん。
もしタイミングがあえば、だまされたと思って食べてくださいって。
アオリイカもタチウオも旨いんですから。これが。
[イベントのお知らせ]
「スタンドチンタ」では、今週7/25(水)にカセットテープを
フューチャーしたイベント「caseette NIGHT! Vol.2」が開催されます。
詳しくはナダタマイベント板にて↓
caseette NIGHT!@畑原市場 Vol.2


