畑原市場を灘中央筋から東に進み畑原Y字路を過ぎ、くの字に曲がった
畑原シケインを越えるとそこから東畑原市場。旧太田川マンホールを越え、
さらに進んでいき「モンク」の赤い提灯が見えたらそこからは畑原東商店街
になるわけですが、その手前にある「おもろい店」、そのまた手前
に不思議な空間があります。
隣は灘駅弁や摩耶鍋の製作でおなじみ創作料理の店「新家」。
一部で「東畑原ポケットパーク」と呼ばれているこの空間はいつも
板戸が閉められていますが、たまに少し戸があいている時があります。
隙間から覗き込むと、なんとも懐かしいような小さな空き地。
ガラクタのようなものが見えたり洗濯物が見えたり、
そして地面と青い空と建物を覆う緑。
東畑原市場の庭といった風情。
昔、灘のいたるところで見られた様な空き地。
この小さいけれど日当りの良い空き地にはゴーヤが植えられています。
というか育ちまくっています。
この空き地のある東畑原市場は元々、多くの奄美や沖永良部など南島の
方が商売をされていた市場。
今ではそんな風情はありませんが、この空き地のゴーヤだけがこの場所の
歴史を語っているようです。
で、このゴーヤで佃煮を作っているのが空き地の隣「新家」のお母さん。
新家はもともと「あらた寿司」として昭和20年代、東畑原市場の創世記に
開店。先代はやはり沖永良部の方です。
でも、ゴーヤ佃煮を作っているお母さんは生粋の灘っ子(五毛っ子)。
このあたりのチャンプルー具合が灘らしいじゃありませんか。
1回で5〜6kgも炊くという「東畑原のゴーヤ佃煮」は、
いまや界隈の隠れた名産です。といっても販売されているわけではなく、
ご近所さんや知り合いにお裾分けされているわけです。
お裾分けっつーのが灘らしいじゃありませんか。
これが結構美味いんですよ。
そんなに苦くないのでゴーヤの苦みが苦手な人でも大丈夫。
でもちゃんとゴーヤです。
「このゴーヤの佃煮を東畑原市場のイカナゴにできへんかな思てるんですよ」
と、新家店長のテルさん。
なるほどイカナゴの釘煮が春を告げる市場の味なら、
ゴーヤの佃煮は夏を告げる市場の味。
初夏を告げる南島の味、東畑原市場のゴーヤの佃煮。
いいじゃないですか!
じゃ来年の5月8日(ゴーヤの日)発売という事で。
東畑原市場のゴーヤの佃煮、新たな灘印良品の予感です。