突然ですが、貝をホジホジしているとなんとなく落ち着きませんか?
アサリしかりサザエしかり。
ホジホジして食べる「ホジホジ食材群」において有名なのはカニ。
ホジホジ界に君臨しているキングオブホジホジといっても過言ではありません。
それは認めましょう。
でも、どっちかっていうと貝をホジホジしている方が好きなんですよね。
カニホジはなんとなく殺気立つ感じがありませんか?
終始無言。一心不乱。猪突猛進。
「一ホジも無駄にしない」という鬼気迫る厳しさがあります。
食事というより作業といった方がぴったりくるノルマ感。
一方、貝ホジはなんとなくのんびりしています。
破顔一笑。温厚篤実。気宇壮大。
「ま、そこんところテキトーでいいじゃん」というユルさがあります。
日本人と貝は石器時代からの付き合いがあります。
長い間に培われたあうんの呼吸、信頼関係がそう感じさせるのかもしれません。
冬の厳しいカニホジから解放され、ようやくうららかな貝ホジの季節がやってきます。
てことで春になるとなぜか貝が食べたくなります。
そんなこんなで、春は市場でも貝に目がいくわけです。
瀬戸内のあさりの身もぷっくりと太ってきます。
貝殻しまんないんじゃないかと思うくらいの育ちっぷり。
新わかめとアサリの酒蒸しを熱燗で。
王道ですね。
もうセンバツ高校野球の送りバントぐらい王道。
ちょっとはずしたいような…
そんな私の気持ちを見透かしたかのような魚屋さんの一声。
「いたや貝食べたことある?」
「いたや貝?いや、ないです」
「いっぺん食べてみて、おいしいから」
こういった対面販売ならではのいわゆる「寄り道買い」での素材との出会いも
楽しいものです。
「どこで捕れるんですか?」
「山陰とか北陸やな。今がおいしい時期やで」
一見、帆立風の貝。
大きな卵もついています。
レモンをきゅっとしぼって、そのまま食べても美味そうな風情。
「沖すきくらいのお出汁で焼豆腐と炊いてもおいしいよ」
う〜ん、いいですね。
おかずにもなりそう。
「マグロもまけとくで」
すいません、いつもおまけしてもらって。
てことで今夜は若干洋風に
「いたや貝とまぐろの紅白カルパッチョ風」てことに決定。
うわ、柔らかっ!
美味いわ、この貝。うん帆立よりうまいかも。
スーパーなどでは気づかない、見知らぬ素材との出会いができるのも
市場のよさかもしれません。
「寄り道で 春に誘われ 初いたや」


