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2007年2月15日(木曜日)

第一夜 台北ビルの前に立つ

カテゴリー: - dr-franky @ 00時54分47秒

 ある夜、善治郎は台所で夕飯の洗い物をしながら、月明かりのテラス
で物思いにふける義弼に、自分の温めている花筵の取引の構想を打ち明
けた。

「なあ、義弼よ。花筵の利点は廉価だけではない。絨毯は汚れが食い
込んで掃除するにも一苦労するが、花筵なら箒で掃けば綺麗になるし、
泥が付いたって布巾で拭いてやれば事足りる。
 それに、夏の汗が滴り落ちる時に分厚い絨毯をみたらぞっとするが、
筵は涼しげだ。おれに言わせりゃ、こりゃ絶対に受けるよ」。
 義弼は「またいつもの思いつきか」という気持ちになりかけたが
一方で、こんなに熱っぽく語る善治郎を見るのも久しぶりだ、とも思っ
た。そして、「ここまで考えているなら、善治郎は後へは引かないだろ
う」と、特に善治郎の考えを否定するような物言いはしなかった。

 それからしばらくして、善治郎は、森村組紐育支店の支配人である森
村豊に、したためた辞表を差し出した。もちろん、花筵の構想について
の考えも記した。
 豊はその場では、「とりあえず受け取るが、扱いは考えさせて欲しい」
とだけ善治郎に言った。

 またしばらく経ったある日、善治郎は、豊から支配人室へ来るよう言
われた。
 善治郎は、豊と向き合って座った。
 豊は言った。「善治郎君、君の構想は着眼はいい。しかし、貿易業を
起こすには、資金と経験が必要だ。しかし、幾ら花筵が安価だからといっ
てだ、今の君には資金の手立てはないし、だいいち花筵を扱った事だって
ない。君が自分の考えを実行に移すのは、私は反対だ。」
 善治郎にしても、豊の的を得た指摘にはぐうの音も出なかった。しかし
善治郎は感じていた。動物的な商売人としての勘が、花筵に勝算あり、と
善治郎に告げていた。善治郎の意思は揺るがなかった。
 こうなると、今度は豊のほうが、善治郎の頑固さに音を上げる番だった。
「そこまで決心が固いのなら仕方がない。しかし」豊は続けた。「もし成
算の見通しが立たない時は、直ちに森村へ戻って来い」。
 豊は、善治郎の人柄を買っていた。それだけに、無謀ともいえる自らの
賭けで、将来の可能性を善治郎が閉ざしてしまうことを恐れていたのだ。

 とにかく、善治郎は次なる新たな一歩を踏み出そうとしていた。(つづく)


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