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2009年12月31日(木曜日)

底抜け!痛快!!船成金の館(69)

カテゴリー: - dr-franky @ 22時27分13秒

幸次郎は武と差向いで正座した。武は常ならぬ気配を感じ取っていた。

「オイが会社を潰したのも同然。コイ(この)腹ば、オモサマ(思い切って)
かっさばいて責めをカラウ(背負う)」。

 武は一瞬当惑の眼差しとなったが、すぐさま幸次郎を戒めた。
「今、この時期に、社長、あなたがが自決することは、なるほどサムライ
らしく潔いかもしれない。しかし、それはこの難局から逃げることに他
ならない。川崎の救済を敢行すべきです」。

 幸次郎は高揚して「オイは死ぬことは恐ろしくはなか」とまくし立てる。
 武は「あなたの今の自決は卑怯千万ですぞ」と重ねて幸次郎の軽率さを
指摘した。

 武の般若のような面持ちを見据える幸次郎の眼に光るものが溢れていた。

 それに気づいた武は、しかし気持ちを押しとどめるように「事態が進退
極まることと道が開けていくことは紙一重、そのつもりで明日から物事に
あたってください」と幸次郎に語りかけた。幸次郎は「うん」と小さく
頷いた。

 8月、幸次郎は
1 会社抵当法により資金二千三百五十万円を借り入れ、社債償還と手形
 決済に充当。
2 自社所有地で神戸市内の不要な土地を売却。
3 それ以外の不用な財産の処分を促進。
などを柱とする整理案を債権者に提示した。
 政府による救済案を作成した郷男爵が大口債権者の9つの銀行団と川造
とのあっせんの労を担った。

 そのころ、神戸高等商業学校の平井教授が市民による川造救済の献金を
呼び掛ける、今日でいうところの勝手連運動を展開した。
「一民間企業の問題では済まされない。「大神戸」の命運が、川崎に掛って
いる」あらゆる席で平井は川崎救済の意義を説いて廻った。
 
 そして、銀次郎も神戸市会にあって、神戸市による川崎への資金の供与
を市会議員団や市当局に働き掛けていた。 

 銀次郎は人を介して、平井教授と面会した。銀次郎は開口一番、「私も
川造を神戸市あげて助けるべきと考えている。平井先生、あなたは川崎造
船所に頼まれて、触れて回っておられるのでもあるまい。
 どの様に思われておられるのか。お考えを受け賜わりたい。」と質した。
「勝田先生。」平井は銀次郎に向って持論を披露した。
「川崎に働く社員・職工の後ろには、協力工場のけ英医者・労働者や家族、
そして彼らが金を落とす新開地・福原をはじめとする無数の商店が控えま
す。川崎が「座礁」すれば、彼らは路頭に迷うことに直結します。」
 それ以上の言葉は不要だった。「愚問でした。私は市会と市の幹部を説
得しましょう。頑張りましょう、お互いに。」
「宜しくお願いします。」

 翌昭和三年(1928)五月、川崎が兵庫工場の車両製造部門を分離し
て、川崎車輛株式会社を発足させたのと同じ時期、神戸市が川崎の経営陣
に、三百万円の資金融資を行う用意があることを打診した。
 川崎の負債額からすれば取るに足らない金額であったかもしれない。し
かし、経営陣、とりわけ幸次郎には平井や銀次郎らの無償の奔走に無上の
感謝の念を抱いていた。

 幸次郎が株主総会で三十二年に及ぶ川崎造船所社長の椅子を明け渡すこ
とを表明したのは、それから間もなくのことであった。

 九月、神戸市会は川崎造船所への資金融資の件を満場一致で議決した。
その陰には内には銀次郎の市会内での根回しと、平井教授の市民の世論
醸成が功大であったことは言うまでもない。   (この項つづく。) 

 本年も最後までお下さり、ありがとうございました。年明けからは、
いよいよこの物語も第三幕へ突入します。来る年もお付き合いの程、
宜しくお願いします。  


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