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2007年2月25日(日曜日)

第13話「上野通」前編

カテゴリー: - aiai @ 07時59分26秒

上野通は果てしない。

出発地点の一丁目は、上野中学校の南。

神戸では普通かもしれないけれど、
石垣の上にグランドがあるというのはスゴイことなのだ。

石垣を見ただけでお城をイメージしてしまうのは僕ぐらいかもしれないが、
灘のような斜面都市では、石垣は当たり前の風景。

上野中学校の南側です

斜面に大きな土地を用意しようとするほど、
石垣は物々しいものになる。

石垣の高さは、その上にある土地の大きさを知る大事な手がかりになるのだ。

そんな気分で石垣を眺めたりして、
篠原や都賀川あたりの気分で西へ西へ歩く。

ところが、上野通の西端は神戸高校の前を通り過ぎた向こうにある。

行けども行けども、ずっと上り坂。

つまり上野通は、西が高く東が低い。



気圧配置ならば(?)典型的な冬型「西高東低」の上野通だが、
今年は本格的な冬の声を聞かないまま、春の気配が満ちてきた。

そんな上野通で、どうしても気になって気になって仕方がない店が一軒。

「国玉書房」







写真を撮っていたら突然、通りがかりのおばちゃんに声をかけられる。

何かと思ったら、すがるような顔で「郵便局はどこですかねぇ?」と尋ねられた。

「いやぁ、このへん詳しくないんで、わからないですわぁ」

僕の気の抜けた応答は耳に入らないようで、
おばちゃんは交差点を指さして「ここに郵便局があったはずやねん!?」と、
一方的に畳み掛けてくる。

参ったなぁ・・・。

でも、指さす方向にはどう見ても郵便局は見あたらない。

郵便局が頻繁に引っ越しをするわけでもなし、
どこかと勘違いしてるんだろうなぁと思いつつ
「あそこのお店で聞きましょうか」と言うと、
余計に混乱した感じで、
「いや、ほやけどな、あんな、ちゃうねんて」と、必死の形相。

お店の人が出てきたので、僕が代わりに聞こうと近づいてみたら、
なんとその右隣に郵便局がある。灯台下暗し。

「おばちゃん、郵便局ここにありますやん」

「違うねんて、そうじゃなくて、ほんまにこのへんにあってな、でもどこかわかれへんからな、あのな、ここのな」

「いやいや、えーっとね、ほら、そこをよう見てください。そこにあるでしょう。」

おばちゃんはやっと僕が指さす方向を見て、5秒ぐらい凝視する。

やっと郵便局が認識できたらしく、僕の方を振り向くこともなく、
そのまま無言で郵便局に入っていった。

やれやれ。

国玉書房から西にもうちょっと進むと、上野通の五毛温泉。

せっかくなので、裏に回って煙突を愛でることにする。

煙突を根元から見上げるのが好きだ。

根元の逞しさに惚れ惚れする。





「上野通」後編に続く


2007年2月4日(日曜日)

第12話「岩屋南町」

カテゴリー: - aiai @ 07時59分50秒

岩屋南町、ホームセンターナフコの前。

「浜岩屋」というバス停がある。

誰もいないバス停の前で、大きくうんうんと頷いてしまった。

ここは、岩屋の浜だったのか。

岩屋南町1丁目

「浜岩屋」のバス停

僕の目の前には大河のような国道二号線が流れているだけだ。

この場所の過去も見えないし、未来が見えてくるわけもない。

でも、浜岩屋というバス停が僕の感傷をかき立てた。





初めて神戸に来た10年前、海が遠くなった気がした。

自宅からバイクで5分も走れば、灘浜や摩耶埠頭に出られる。

でも、なぜか遠い海。

岸壁の海は、触ることができない。

海と陸の間に、厳然たる仕切りがあるかのようだった。

浜辺が見たい、と腹の底のあたりで思った。

海と陸を隔てない、浜辺の音が恋しくなった。

寄せる波が小石を鳴らす、カチャカチャという乾いた音が聞きたくなった。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

そんな感傷をバス停に残したまま、西へ歩く。

信号のタイミングで、一瞬の静寂が訪れる。

阪神高速の足元、HAT神戸と二号線に挟まれた場所に、工場や事務所が並ぶ。

こんなところで「1000人のチェロ・コンサート」なんて文字を見かけた。

これも浜岩屋の底力なのかもしれないなぁ、と何の根拠もなく思った。

ふと見上げると、暗く立ちこめた雪雲が摩耶山を包んでいた。

春はまだまだ遠そうだ。

1000人のチェロ@浜岩屋




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