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2008年12月20日(土曜日)

灘にあった南西諸島連盟 第2部 その4

カテゴリー: - utinadanchu @ 00時22分53秒



▼ 「問題は神戸市灘区で、南西諸島連盟という鵺(ぬえ)的組織が結成された事で始まりました。徒花のようなこの組織は看過できない重大な側面をかかえて、否応なく沖縄人連盟(大阪・兵庫)を渦中に巻き込み、組織の存立にかかる大混乱に陥れました。
 この奇怪な組織(数年も経ず消滅しましたが)は、奄美出身のNとMが共謀し、援護物資の払い下げを目的にでっちあげた組織であることは明白でした。彼らがこのような邪道に走ったのは、沖縄人連盟兵庫支部連合会(兵庫県本部)の、兵庫県からの援護物資払い下げに、目が眩んでの暴走であったのは疑う余地がありません。
 沖縄人連盟の援護物資払い下げは、日本政府宛マッカーサー覚え書に依拠して行った組織行為であり、国内に母県を持つ奄美連盟等奄美出身者の組織が、マ覚え書の適用外であったのは止むを得ないことでした。然し私利私欲の利権に目が眩んだ前記NとMやその一味は、南西諸島の呼称と被せて組織名とし、沖縄出身者も総て包含していると偽り、兵庫県に援護物資の払い下げを申請しました」。

 

▼ 上江洲によると、沖縄人連盟兵庫県本部の発足当初、奄美大島の関係者によって組織された南西諸島連盟との合流問題が持ち上がったという。敗戦後も沖縄とともに日本から行政を分離された奄美大島は沖縄と同じ運命にあり、共同歩調をとることについて異論のあろうはずはなかったが、一つの組織として合流してしまうということになると問題は別だとした。日本から行政上分離されているとはいっても立場が異なる、というのだ。沖縄は県ぐるみ無くなってしまったのだが、奄美大島の場合は鹿児島県という母県を持っている。完全に統一した運動を組みにくい。どこかで食い違いが生じるだろう。同じ組織の中で意見の食い違い、とり組みの違いが出てくるとうまくいかなくなる。分裂せざるを得なくなる。それよりは、あくまでも別の組織で、お互いを尊重し合いながら連帯して運動にとり組んだ方がより建設的である−−というのが沖縄人連盟兵庫県本部の言い分だった。

 

▼ 沖縄人連盟兵庫県本部は、神戸ではすでに東神戸、生田、西神戸の三地区に沖縄人連盟兵庫県本部の傘下支部が結成され積極活動しており、生田支部内には用地を確保して活動拠点の建設を目指していたという。県や神戸市、尼崎市をはじめ各行政機関との関係も円滑に進展しており、「局地灘区の南西諸島連盟は、もう当方には些かも妨げになる存在ではありませんでした。やがて消滅するのは明らかでしたので、同組織の存在は、完全に眼中から消えかかったのです」(上江洲)。
 ところが、大阪では沖縄人連盟は南西諸島連盟に合流してしまった。大阪沖縄県人会連合会の記録では、「こうした困難な情勢の中で県人の生活と権利を守るために県人会づくりがスタートした。昭和21年2月21日、東京都共立講堂において全国沖縄人連盟を結成、同年4月には大阪市中之島公会堂において南西諸島連盟大阪本部(資料によっては関西本部)を結成し、大阪の各地区に支部を設けた」とあり、「名称については、同じ占領下にあった奄美諸島も加入していたので、幾多の経過をたどり、今日に至った」としている 。上江洲は「神戸にあった南西諸島連盟の方は、そこで『我々は沖縄をも含めた南西諸島の団体である』というふれこみで、われわれと同じように、兵庫県庁に向けて救済物資の払下げ交渉に入ってしまった。現に、南西諸島連盟の役員に沖縄出身者がいたから、話はますますややこしくなって、兵庫では大きな混乱が生じてしまったのだった」と語っている。

 

▼ 先の1946年8月の神戸新聞記事で奄美連盟の灘支部が解消されたこと、神戸在住沖縄県人連絡取扱事務所の代表者である大城清蓮が尼崎の沖縄人連盟兵庫県本部の副会長に名を連ねていること、多くの沖縄人名士は灘南や脇濱に住んでいたことなどから、南西諸島連盟は奄美連盟から合流した一派と神戸で沖縄出身者の窓口となっていた大城らが立ち上げたのではないだろうか。特に神戸には神戸製鋼や川崎製鉄勤務者に代表される、尼崎とは異なる階層の沖縄県出身者が多くいたことで、後で述べるように南西諸島連盟が戦前からのプロレタリアートの流れを組んでいる可能性も否定できない。
 南西諸島連盟は他地域では見られない奄美と沖縄のハイブリッド組織である。神戸では、同じ中国系が多い横浜などでは絶対にありえないことだが、華僑組織や華僑学校は大陸系と台湾系のハイブリッド組織になっている。奄美と沖縄のハイブリッドも、神戸らしいボーダーレスな一面かもしれない。実際、神戸には沖縄出身者と奄美出身者が結婚して生まれた琉球ハイブリッド2世は多い。(つづく)
 
 

 


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