April in Paris (パリの四月)
Chestnuts in blossom (栗の花が咲き)
Holiday tables under the trees (樹々の下には休日のテーブル)
April in Paris (パリの四月)
This is a feeling (この気持ち)
No one can ever reprise (誰もほかでは味わえない)
「パリの四月」は1932年、
ミュージカル『Walk a Little Faster』のために書かれた美しいバラード。
スウィンギーで豪快なアレンジを施したカウント・ベイシー楽団をはじめ、
多くのジャズメンたちがこぞって取り上げ、大スタンダード曲となった。
短い描写に、春がかぐわしく立ち上る。
作詞者のエドガー・イップ・ハーバーグは当時パリに行ったことがなく、
パリに詳しいヴァーノン・デュークが書いた曲に合わせて、
見知らぬ街を想像しながら歌詞を綴ったのだという。
僕も行ったことはないが、代わりに「灘の四月」を散策してみた。
王子公園で夜桜の通り抜けがあった日の昼間。
青谷川沿いには、早くから場所取りのシートが。
パリの「栗の花」に代わるものは、やっぱり満開の桜なのだろうけど、
傍らに、どこかひっそりした風情でツバキが咲いていた。
豪勢な桜がなければ十分に主役を張れるだろうに。
この時季には、登山練習用の岩場が「休日のテーブル」になる。
岩から岩へ跳び回っていた子供たちが、
何か合図でもあったのか、示し合わせたように花びらを拾い集める。
I never knew the charm of spring (いままで春の魅力を知らなかった)
Never met it face to face (出会ったこともなかった)
I never knew my heart could sing (私の心が歌えるなんて知らなかった)
Never missed a warm embrace (温かな抱擁を求めることも)
Till April in paris (パリの四月を知るまでは)
Who can I run to? (私は、誰のもとへ行けばいい?)
What have you done to my heart?(あなたは、私の心に何をしたの?)
平日昼間の公園を、ゆっくり目を凝らし、耳を澄ませて歩くことなどあまりないから
慣れ親しんだ風景もいちいち新鮮に、物珍しく映る。
どこかから笛の音が聞こえてきた。オカリナ?
音の主を探すと、川面に張り出した桜と向き合って練習する人がいる。
川べりをさらに上っていくと、丸みを帯びた音が追いかけてきた。
知らず知らず「パリの四月」を口ずさむ。
商店街にも「四月」は溢れている。
[あかちゃ家]の桜水まんじゅうと、横に添えられた桜アイス。
甘いものや和菓子は、正直いって得意ではないけれど、この店では食べられる。
歌詞を「I never knew the taste of sweets」と変えて歌ってみるか。
春は嫌いではなかったけれど、特別好きな時季だったわけでもない。
でも今年は胸が膨らむような想いがある。
What have you done to my heart?(あなたは、私の心に何をしたの?)
※灘の桜ギャラリーは、更新中の「灘バカ一題」でどうぞ。
●今日の灘ノオト:April in Paris / Ella Fitzgerald & Louis Armstrong
歌ジャズのファーストレディと伝説の巨人の余裕と寛ぎに満ちたデュエット。
しっとりとした歌い口とトランペットの間奏。優しく肌をなでるような心地よさ。


11時00分 - 16時00分
6月1日
