そうそう、こういうのやりたかったんだよなあ、俺。
かつてコーラスグループをやっていた頃を思い出して、ちょっと胸がうずいた。
23日に見に行った「カフェハンドレッドタイムス」のライヴ2周年、「KUM」のステージである。
深見かよさん、上新友祐さん、MIKAさん。
3人の声が絶妙のバランスと相性で溶け合うハーモニー。
各自の声質と個性をきっちり活かしたリードの割り振り。
守る時は守る、攻める時は攻めるメリハリの付け方。
「勢い」や「雰囲気」でゴマかさない安定感。
思わず、わが身を振り返る。
選曲も、安心のソフィスティケイテッドR&Bナンバー中心。
コンテンポラリーR&Bのスタンダードとなったアリシア・キーズ「If I Ain’t Got You」、
ジョー・サンプル&レイラ・ハサウェイをお手本にした「Street Life」、
ぺけひゃくに捧げたスティーヴィー・ワンダーの60’s定番「太陽の当たる場所」
キャロル・キングの曲だが、男女の絡みはダニー&ロバータ風「きみの友達」。
……というようなR&Bファン向け説明なんか横に置いといても、
誰もがきっと何かを感じることができるスタンダードの数々。
代わる代わるソロで披露されたオリジナル曲も、
それぞれの思いが、それぞれの色で描かれていて、とても心地よかった。
やはり人間の声というのは最強の、そして最大の可能性を持つ楽器だ。
水道筋って、こんなのも見られるんやなあ。
ぺけひゃくのライヴ営業2周年を祝う日だったが、
誕生日間近の人が2人いて、バースデーソングも2回歌われた。
アットホームな場の雰囲気が、さらに温かくなった気がした。
「ぺけひゃくスタイル」は着実に築かれていると思う。
小さなハコでも、思いさえあればいろんなことができる、というのを毎回見せてくれる。
惜しむらくは、バーボン2杯だけで切り上げねばならなかったことだ。
諸事情が許せば、心地よさと羨ましさと、いろいろ思い起こすことなどで、きっと酩酊していたと思う。
酒に酔う代わりに、さっき聴いた歌にほろっと酔いながら、小雪の家路を急いだ。
●今日の灘ノオト:If I Ain’t Got You / Alicia Keys
3人の歌に触発され、何年かぶりに聴き直したこの曲、というか、このアルバム。
美貌のディーヴァの根っこに確固たるR&B精神があることを示す傑作ライヴ盤。