2007年 9月
« 8月   10月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
ログイン
ユーザ名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
灘ノオト 最近の投稿
2008年11月16日(日曜日)
商店街よ、踊り出せ
2008年11月6日(木曜日)
カウントダウン
2008年10月2日(木曜日)
山麓の汽笛
2008年9月18日(木曜日)
9月になったから
2008年8月22日(金曜日)
リユニオン
灘ノオト 月別過去ログ
灘ノオト カテゴリ一覧
灘ノオト 最近のコメント
最新の灘イベント情報
予定なし

2007年9月26日(水曜日)

On the Border

カテゴリー: - MJ @ 12時00分00秒

夜の市場に灯る「やきとり」の提灯。トタン張りの壁。その前に停めた自転車。
ニコちゃんマークの引き戸を開けると、ビニールののれん越しに赤く妖しい灯が漏れる。
「スタンド・チンタ・リカーホール」。正確には「ボーダースペシャル」と続く。
もとは、いまの「モンク」の場所にあった焼鳥スタンドだった。
畑原市場に移転したときに、国境の街のちょっと怪しげな酒場のイメージを造った。
灘に音店数あれど、いや灘に限らずとも、ここほど濃密に「音楽的」な空気を漂わす店はないと思う。
ディープな音楽談義が飛び交っているとか、レアな音源に思わず「おおぅ」とのけぞるとか、
そういう一方向に収斂する音楽性ではない。多方向へ拡散し、すべてに「音楽」をまとわせてしまう空気感。
だからこそ水道筋ミュージックストリートにも欠かせない自慢のステージになる。
 
こんなことがあった。
一人でぶらっと店に寄り、カウンターで鳥のヒップか何かをアテに焼酎を飲んでいたときだ。
奥の方にいたアメリカ人と思しき客が勘定をしに出てきた。
彼は帰り支度にリュックを背負っていたが、入口付近の壁にギターがあるのに目を留めたらしい。
「コノギター、ヒキマスカ」と言って手に取ると、いきなりジャッカジャッカジャッカ……
シャッフルブルースの定番リフを弾き始めた。「おー、えーぞえーぞ、やれやれー」思って見ていたら、
俺の隣でやはり一人飲んでいたおっちゃんが胸ポケットをまさぐり始めた。
おもむろに取り出したるはブルースハープ。え、なんでそんなん持ってるの。
おっちゃん、キーを確認するとギターに絡み始める。ホワァ〜ン……
あらら。目の前にこうお膳立てが整うと、歌い手として乗っからないわけにはいかない。
焼酎を手に居住まいを正すと、俺も加わった。「Everyday,Everyday I have the blues……」
何の予告も言葉もなしに、たまたま行き交った人間同士で始まった、まさしくセッションである。
1曲終わると、アメリカ人は陽気な笑みを浮かべて去っていった。
おっちゃんはハープを胸にしまい、何ごともなかったように酒に戻った。
だから俺も焼酎をおかわりし、キャベツをかじって静かに興奮を冷ました。
 
ここでは、空気の中に音楽が溶け込んでいる。
だれかが何かのきっかけで火を点けると、空気中の「音」が一気に膨張して店に充満する。
一触即音。音楽とアートと風俗が絡み合ったサイケの時代はこんなふうだったのかなと思う。
すべては、カウンターに立つシンちゃんのセンスだ。
カントリーブルース好きでギターを弾いたりもするが、店ではディープなブルースばかりではなく、
ソウルもモダンジャズもニューオーリンズものも、ボサノヴァもラグタイムもフレンチ・ポップスみたいなのも、
独特のセンスでかけてくれる。もとは絵描きだったし、いまは自転車乗りでもある。
国境の酒場に持ち込まれる文化は、雑多で怪しく、混沌として、何よりも豊かなのだ。

その店に専属バンドが生まれた。「スタンド・チンタ・クラブバンド」。
スタッフとしてもおなじみの一平くん(サックス)や明人くん(ギター)がメンバーとなる5ピースバンド。
9月30日にそのデビューライヴがある。午後9時スタート、ノーチャージ。
それが終わると、店は改装に入る。カウンターを広げ、フードを充実させ、店名も少し変えるのだそうだ。
ちょっと寂しい気もするけど、ひとつ所に留まっていないのがこの店らしくもある。
どんな内装になるのかな。訊いてみたら「食堂車みたいなイメージですね」と。
再オープンは10月9日。
バンドを乗せて国境を往く音楽列車を、俺はいまから頭に描く。

●今日の灘ノオト:Sgt.Pepper’s Lonely Heatrs Club Band / the Beatles

  チンタの音イメージとはちょっと違うのだけど、雑多でサイケでクラブバンドで……
  というキーワードからこの曲を。『ラバーソウル』あたりの萌芽が結実した超有名盤。


TrackBacks

このコメントのRSS

TrackBack URL : http://www.nadatama.com/modules/wordpress/index.php/archives/2007/09/26/on-the-border/trackback/

この投稿には、まだコメントが付いていません

コメント

投稿された内容の著作権はコメントの投稿者に帰属します。

32 queries. 0.064 sec.
Powered by WordPress Module based on WordPress ME & WordPress