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2007年6月6日(水曜日)

ブームはもう終わりだ

カテゴリー: - MJ @ 10時30分00秒

先日ふと思い出して、ここに書いたビリー・ジョエルの「Allentown」が無性に聴きたくなり、
『The Nylon Curtain』のCDを買った。1982年のリリースまもなく手にしたアルバムだが、
高校生のときにLPを売り払ってしまったので、20年ぶりぐらいの対面である。
その「Allentown」という歌、ポップで少しほろ苦い曲も素晴らしいのだけれど、歌詞がなかなか考えさせるのだ。
舞台は、米国東北部ペンシルバニア州に実在する街。
U.S.スチールという鉄鋼会社を核に戦後急速に発展した、いわゆる「ブーム・タウン」だという。
ところが繁栄は長く続かない。次々と閉鎖される工場、失業者の列、役に立たない卒業証書。
70年代初頭に訪れた街の疲弊した姿にショックを受けて書いた曲だと、ビリー・ジョエル自身が解説している。

Iron and coke,and chromium steel (鉄とコークス、そしてクロム鋼)
And we’re waiting here in Allentown (こうして僕らはアレンタウンで待っている)

But they’ve taken all the coal from the ground (でも、彼らは残らず石炭を掘り出してしまった)
And the union people crawled away (組合の連中は逃げて行ってしまった)

And it’s getting very hard to stay (この街で暮らすのはとても難しくなっていく)
And we’re living here in Allentown (でも、僕らはこのアレンタウンに住んでいる)

取り壊し直前の神戸製綱高炉の煙突。2000年ごろ、naddist氏撮影消費され尽くした街。
これを即、灘の話に読み換えるのは乱暴に過ぎることは承知している。
『華麗なる一族』の時代を思えばずいぶん寂しくなったとはいえ、灘にはまだ高炉があるし、中国の経済発展に伴って国内の鉄鋼業はいま好調らしい。「鉄冷えの街」ということでいえば、先ごろ『南部再生』で臨海部を特集した尼崎の歩んできた途のほうが、この歌の物語は真に迫っているかもしれない。
それでも、自分の暮らす街に重ねずにはいられない。
企業は採算が合わなくなったら縮小・撤退できるからいい。「役割を終えた」とか「時代の変化」といった当たり障りのない言葉を残して。工場の進出・撤退のサイクルはどんどん短くなっている。工場が来たからといって、いつまで地元が恩恵に預かれるかなど分からないし、そもそもほんとうに「波及効果」とやらがあるのかどうかも怪しい。
製造業に限った話ではない。大型商業施設のスーパーや量販店、チェーンの飲食店。莫大な金を掛けて誘致したテナントがあっさり撤退し、廃墟のような姿をさらす「再開発」の無残な失敗例を僕らはたくさん知っている。
でも、その街には残される人びとがいる。しんどいけれど、「こうして待っている」人たちが。
街は「消費」のためだけの場ではない。
需要が減ったからといって、暮らしはそう簡単にスクラップ&ビルドできないのだ。
商店街や市場を壊してマンションを建てるとか、「安全・安心」や「利便性」をタテに無用に広い道路を通すとか、
「駐車場何千台」のバカでかいショッピングセンターを造るとか、そんなものを少なくとも僕は望んでいない。
街に愛着のない企業や人口を何千、何万と増やしたところで、たいして意味はないのだから。

──などと考えていたら、先日、厚生労働省が2035年の人口推計を発表したという記事があった。
30年後。東京一極集中はますます進み、秋田や和歌山など、ひどいところでは人口が現在の7割になるという。兵庫県は現在の559万人から80万人減って479万人。
こういう数字を突き付けられると、いい加減、「人口規模が都市の格」という考えを捨て去らないと…と改めて思う。そんなことは何十年も前からあちこちで言われているのだが、どうも本質的には変わっていないように見える。
企業や行政だけを悪者にして変化を迫るだけでは事足りない。僕らだって、そんな幻想を下支えしてきたのだ。
日本全体が「ブーム・タウン」だった時代はとっくに過ぎ去ったというのに。

●今日の灘ノオト:Allentown / Billy Joel

  内容は深刻だが、アコギの軽快なストロークが良質のポップス感を醸し出す佳曲。
  勢いよく蒸気の噴き出す音、鉄を鍛える音は、未来への希望を響かせているのだ。


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