水道筋に風が吹いた。
灘中央筋に音が満ちた。
畑原市場に妖しい花が咲いた。
水道筋ミュージックストリート。夢のような一日。
ほんまに幻だったんじゃないか。今朝、ふだんと何も変わらぬ商店街を歩き、一瞬そんな思いにとらわれた。
昨日─―
明け方猛烈な勢いで降った雨は小やみになり、ときおり雲間から日が覗いた。
ミュージシャンたちはそれぞれの場所で歌い、音を紡ぎ、お客を笑わせ、あらん限りの魂をさらけ出した。
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ワタクシMJは商店街仕様のセットで、ソウル/R&Bの名曲から越路吹雪まで演奏させてもらった。
な也の岡ちゃんは、その巨体に漲るパワーで精神的にも実質的にもイベントの支柱であり続けた。
ハンドレッドタイムスのちっち氏は、寝不足で倒れそうになりながらライヴをサポートし続けた。
チンタのシンちゃんは、大入りで身動きが取れない店のカウンターで酒を注ぎ、鶏を焼き続けた。
Cafe P/Sの大地くんは、ふと足を止める商店街のお客さんに微笑みかけ、気を配り続けた。
naddist氏は何かに憑かれたように、ストイックにFMのマイクに向かい続けた。
あかちゃ家さんとアコハモさんは寒風の中、毛布まで羽織って外に立ち、チケットやCDを売り続けた。
ナダタマスタッフは何百もの風船を膨らませ、子供たちを魅了した。黄色い風船がいくつも灘の空に舞った。
JACは揃いの純白ユニホームで街を巡回し、「水道筋の歌」を響かせた。フィナーレの客席は人いきれで溢れ、ステージにはおっさんが溢れた。
川上盾さんはクセのあるツワモノたちを見事に仕切った。
その場にいる全員の歌声と手を打つ音がな也を包んだ。
終了後ミュージシャンたちは浴びるほど酒を飲み、
いかに楽しんだかを口々に話してくれた。
「水道筋ってムチャクチャええとこやな」「またやってや。来るで」
そう言ってくれた言葉は決してお世辞ではなかった、と思う。
なぜならば
the twinsは灘温泉で朝風呂を満喫し、弟の小竹親は880円のサングラスを買っていた。
カサ・スリムは商店街をぶらぶらりと歩き、古着や古道具を一心に品定めしていた。
土居秀行は市場の活気に目を見張り、「垂水から灘へ移りたいなあ」とつぶやいた。
From Now Onの谷Inkou氏は「通り掛かりのおばちゃんがええ感じでノってくれて」と笑った。
そう。水道筋の実力をミュージシャンたちに見せることができた。
それでいい。
音楽とストリートは決して切り離せないのだ。
ほんまに皆さん、ありがとうございました。
●今日の灘ノオト:I’ll Come Running Back to You / Sam Cooke
熱気と興奮の一日が過ぎ、ほっこりとユルい気分で寛ぐ。
サム大先生の柔らく豊かなテナーヴォイスに身を委ねて。