水道筋6丁目から北上する道と福住公園から篠原公園に続く道の交差点を東に少し行ったところ(現在の吉村歯科のあたり)に私のもの心ついたころ(昭和30年代)からやっているハイマート(故郷)という小さなパン屋がありました。主人は元和菓子職人だったというだけに食パン以外に3色パン、富士山パンなどの菓子パンや6cm近くある大型クッキー、カップケーキも作っていました。
　食パンは切りたてが美味しいということで必ず客に厚さを聞いてからスライサーで切って売っていました。職人らしく無口でしたが、たまに｢生イーストがなくドライイーストも貴重だったころドライイーストをリンゴジュースに溶かして一升瓶に詰めて夜はイーストが死なないように抱いて寝た｣話や｢塩やバターのたくさん入った食パンは口当たりもいいし美味しいが、匂いが鼻について3日で飽きる。お客さんにずっと飽きずに食べ続けてもらうには塩とバターをぎりぎりまで控えた方がよい｣という話を聞きました。
　主人が死んだ昭和50年代に閉店しました。この店を知っている二とはいませんか。