ハイマートで思い出したことがもうひとつ。
おばちゃんは、いつも必ず九九を１０倍して計算していましたね。
たとえば６０円のパンを４つ買ったら、
「はいありがとう。ほな、四六２４０円ね。」と言っていたのが、九九覚えたての私には新鮮な「応用編」となりました。

私の住んでいた四軒長屋は、ハイマートから５０Ｍほど東の「宮尾吹付塗装店」の真向かいにあったのですが、西から順に「畳屋」「牛乳屋」「シャツ仕立屋（うち）」「美容院」とつづいていて、あのあたりは私の心の原風景です。私のうち「旭屋シャツ店」は、１９５２年頃から、祖父が入院した１９８２年２月まで続いていました。

そうそう、ハイマートのご主人、いかにもコックさんって感じの真っ白な山高帽をかぶって、奥の方でお仕事されていましたね。
奥様は割烹着だったと記憶しています。

ハイマートの西の交差点（天城通５丁目と６丁目の間）には長い間信号機がなく、交通事故が頻発していて、よく救急車が出動していましたね。

その交差点のすぐ北に「福原書院」という書道教室があって、長い間通っていたのですが、震災で跡形もなく潰れてしまいました。そしてなぜかいまだに空き地のままですね。

あのあたりの住民は、みんなハイマートのファンだったと思います。朝にはひっきりなしに近所の人たちが並ぶようにして買っていましたね。
本当に、天城通・福住通の住民にとって「朝の胃袋」でした。